職場における「社会的健康」支援の実践例|人とのつながりを健康経営に活かす方法

健康経営というと、健康診断や運動、食生活、メンタルヘルスなどの取り組みを思い浮かべる方が多いのではないでしょうか。

しかし、社員が健康に働き続けるためには、もう一つ大切な視点があります。

それが「社会的健康」です。

「困ったときに相談できる人がいる」「職場に自分の居場所がある」「部署を越えて気軽に話せる人がいる」。

こうした人とのつながりは、社員の安心感や働きやすさだけでなく、組織の活力にも関わります。

では、企業として社会的健康を支えるためには、具体的に何をすればよいのでしょうか。

今回は、職場で実践しやすい社会的健康支援の方法と、取り組みを形骸化させないためのポイントを紹介します。

目次

社会的健康とは

健康経営というと、健康診断の受診率向上、運動習慣の改善、食生活の見直し、メンタルヘルス対策などを思い浮かべる企業が多いでしょう。

しかし、社員の健康を考えるうえでは、もう一つ見落としやすい視点があります。

それが「社会的健康」です。

社会的健康とは、簡単にいえば「人とのつながりを持ちながら、社会の中で自分らしく生活できている状態」のこと。

職場で考えるなら、

「困ったときに相談できる人がいる」
「職場に自分の居場所がある」
「上司や同僚と気軽に話せる」
「一人で問題を抱え込まなくていい」

といった環境が、社会的健康を支える要素になります。

では、企業は具体的に何をすればよいのでしょうか。

なぜ「社会的健康」が職場で重要なのか

仕事は、一人だけで完結するものではありません。

上司、同僚、部下、取引先など、さまざまな人との関係の中で仕事を進めていきます。

だからこそ、人とのつながりが弱くなると、仕事そのものにも影響が出てきます。

例えば、

  • 困っていても誰にも相談できない
  • ミスをしたときに一人で抱え込む
  • 新入社員が職場になじめない
  • 部署間のコミュニケーションが少ない
  • 上司と部下の距離が遠い
  • 雑談がなく、必要最低限の会話しかない

こうした状態が続くと、社員の孤立感が強くなってしまいます。

特にテレワークや個人作業の増加、世代間の価値観の違いなどによって、「仕事上の会話はあるけれど、人としてのつながりがない」という職場も珍しくありません。

ここで大切なのは、社会的健康を「仲良くすること」と捉えないことです。

全員が親しい友人になる必要はありません。

重要なのは、必要なときに人とつながれる環境があることです。

実践例①「5分の雑談」を仕組みにする

社会的健康の支援というと、大きなイベントを企画したくなります。

しかし、最初から大規模な施策を行う必要はありません。

例えば、朝礼やミーティングの前後に5分程度の雑談時間を設ける方法があります。

テーマは、

「最近ちょっと嬉しかったこと」
「休日に何をしていたか」
「最近食べておいしかったもの」
「今ちょっとハマっていること」

など、仕事とは直接関係のない内容でも構いません。

ポイントは、「話しましょう」と呼びかけるだけで終わらせないこと

毎週テーマを決めたり、話す人数を限定したりすることで、会話が苦手な人でも参加しやすくなります。

「雑談くらい自由にすればいい」と考えがちですが、実際には、自由度が高すぎると参加する人が固定されることもあります。

だからこそ、企業側が「参加しやすい形」を設計することが重要です。

実践例② 部署を越えた交流の機会をつくる

社会的健康を考えるうえでは、同じ部署の人だけではなく、普段あまり接点のない人とつながる機会も有効です。

例えば、

  • 部署対抗のウォーキングイベント
  • 社内スポーツ大会
  • ランチ交流会
  • 健康をテーマにしたワークショップ
  • 社内サークルや運動部
  • 他部署とのペアトーク

などがあります。

ここでも重要なのは「イベントを開催すること」そのものではありません。

目的は、普段の仕事では生まれない接点をつくることです。

例えばウォーキングイベントなら、「健康のために歩く」だけではなく、普段話さない部署の人と一緒に歩く仕掛けを入れる。

健康施策に「交流」という目的を組み合わせることで、運動と社会的健康を同時に支援できます。

実践例③「相談できる人」を増やす

社会的健康を支えるうえで、もう一つ重要なのが相談環境です。

社員が悩みを抱えたとき、

「誰に相談したらいいのかわからない」

という状態では、相談窓口が用意されていても十分に機能しません。

そのため、

  • 上司との定期的な1on1
  • メンター制度
  • 新入社員へのサポーター制度
  • 健康相談窓口
  • 外部専門職への相談
  • 管理職向けの「声かけ」教育

など、複数の相談ルートを用意することが考えられます。

特に重要なのが、相談する側だけに努力を求めないことです。

「何かあれば相談してください」だけでは、相談するハードルは下がりません。

管理職が、

「最近どう?」
「困っていることない?」
「忙しそうだけど大丈夫?」

と声をかける。

そして、必要であれば専門職につなぐ。

こうした「つながるまでの導線」をつくることが、社会的健康支援では重要になります。

実践例④ 健康施策を「交流の場」に変える

健康経営では、健康施策とコミュニケーション施策を別々に考えてしまうことがあります。

しかし、両者を組み合わせる方法もあります。

例えば、社内でストレッチを実施するとします。

単純に「10分間ストレッチをして終了」でも健康づくりにはなります。

そこに、

「最近肩こってません?」
「この動き、意外ときついですね」

といった会話が自然に生まれる仕掛けを加える。

さらに、運動の前後に1〜2分の健康教育や簡単な交流を取り入れる。

すると、健康施策が単なる「運動の時間」ではなく、社員同士が顔を合わせる時間にもなります。

これは、社会的健康を考えるうえで非常に重要な考え方です。

新しいイベントを毎回増やすのではなく、今ある健康施策に「人とのつながり」という視点を加えるのです。

社会的健康支援が「形だけ」にならないために

一方で、社会的健康の取り組みには注意点もあります。

例えば、

「社内交流会を開催しました」
「イベントを実施しました」
「社内サークルをつくりました」

だけでは、本当に社員のつながりが強くなったのか分かりません。

大切なのは、実施したことではなく、社員の行動や関係性がどう変化したかを見ることです。

例えば、

「イベント後に部署を越えた会話が増えた」
「相談相手がいる社員が増えた」
「新入社員が職場になじむまでの期間が短くなった」
「上司から部下への声かけが増えた」

などです。

また、参加率だけを見るのも十分ではありません。

参加していない社員の中に、

「参加したいけれど忙しい」
「人前に出るのが苦手」
「そもそも何をするのか分からない」

という人がいるかもしれません。

だからこそ、社会的健康の支援では、参加しやすい仕組みと、参加できない人への別のつながり方の両方を考える必要があります。

「人をつなぐ」には、現場を知ることが必要

社会的健康の支援で難しいのは、会社によって最適な方法が大きく異なることです。

社員同士の交流が活発な会社なら、さらに部署を越えた活動を増やす方法が向いているかもしれません。

一方で、社員同士の会話が少ない会社で、いきなり大規模な交流イベントを開催しても、参加者が一部に偏る可能性があります。

必要なのは、制度を導入することだけではありません。

「この会社では、なぜ人がつながりにくいのか」

を現場から考えることです。

健康経営の窓口では、運動・食事・メンタルヘルス・健康相談・ワークショップなど、さまざまな健康施策を通じて、社員が参加しやすく、自然に人とつながれる仕組みづくりを支援しています。

国家資格者などの専門職が現場に入り、社員の反応を見ながら内容を調整する。

「制度をつくって終わり」ではなく、実際に社員が参加し、行動するところまで伴走する。

社会的健康は、紙の上だけではつくれません。

人と人との間にある、ちょっとした会話や声かけ、相談できる関係性。

そうした日常の積み重ねが、社員の安心感や職場の活力につながっていきます。

まとめ|社会的健康は「つながる仕組み」からつくる

社会的健康への支援は、特別に大きな制度を導入することから始める必要はありません。

まずは、

  • 気軽に話せる時間をつくる
  • 普段接点のない社員が交流できる機会をつくる
  • 相談できる人・場所を増やす
  • 健康施策を交流の場として活用する
  • 実施数ではなく、社員の行動や関係性の変化を見る

といった小さな仕組みから始めることができます。

そして重要なのは、「何をするか」だけではなく、自社の社員が実際に参加し、使い、続けられるかです。

健康経営を「健康施策の実施」で終わらせず、社員同士のつながりや安心感、そして組織の活力につなげていく。

そのためには、制度と現場の間をつなぐ伴走者が必要になることもあります。

「施策はやっているけれど、社員がなかなか参加しない」
「イベントを開催しても、いつも同じ人しか来ない」
「相談窓口を作ったものの、ほとんど利用されていない」

もしこうした悩みがあるなら、施策そのものではなく、「人がつながる仕組み」から見直してみることが、次の一歩になるかもしれません。


「社会的健康の取り組みを始めたいけれど、何から始めればいいかわからない」

「今やっている健康施策を、もっと社員参加につなげたい」

そんな段階でも構いません。

自社の状況に合わせて、どのような施策や仕組みが考えられるのか、一緒に整理してみませんか?

健康経営の窓口に相談する


タグ

#健康経営
#社会的健康
#メンタルヘルス
#職場環境
#コミュニケーション
#従業員エンゲージメント
#人的資本経営

よかったらシェアしてね!
  • URLをコピーしました!
  • URLをコピーしました!

この記事を書いた人

『理学療法士』
『健康経営エキスパートアドバイザー』

2015年~パーソナルトレーニング事業を創業
2020年~理学療法士免許取得
2023年~健康経営エキスパートアドバイザー
法人向け整体、健康経営優良法人の認定サポートを開始。
「健康行動をしたくなる」セルフケア指導を得意とします。

コメント

コメントする

目次