「安心」を、製品だけでなく働く人にも。ものづくり企業・宮崎株式会社が育てる、無理なく続く健康経営
大阪府八尾市で、真空成型による工業用トレーや部品トレー、ブリスターパックなどを製造する宮崎株式会社。
同社の経営理念には、こんな言葉があります。
「私たちはものづくりの力で
地域の安心を支え
共に豊かな未来を創ります」
宮崎株式会社がつくっているのは、製品を収め、守り、運ぶためのトレーです。
そのものづくりを支えているのは、現場で働く一人ひとりの社員たち。
同社は今、製品を通じてお客さまに届けてきた「安心」を、社員が安心して働き続けられる職場づくりにも広げています。

ものづくりの現場だからこそ、身体を守りたい
宮崎株式会社は、真空成型による各種トレーを中心に製造・販売しています。
製造現場では前かがみになる作業も多く、重いものを持つ場面もあります。
だからこそ会社がまず考えたのは、
「仕事によって身体を壊してしまう人をつくらないこと」
でした。
現在は健康診断の受診だけでなく、運動、睡眠、食事、メンタルヘルス、女性の健康などをテーマにした健康セミナーや、体操、身体のケア、健康情報の提供などを継続しています。
月に一度程度、さまざまなテーマを取り上げながら実施しています。
ただ、最初から大きな健康経営計画があったわけではありません。
始まりは、とてもシンプルでした。
「まずは、やってみよう」
その積み重ねが、宮崎株式会社の健康づくりのスタートでした。

健康について学ぶ機会を定期的に設けています。知識を得るだけでなく、社員同士が同じテーマについて考える時間にもなっています。
身体の健康から、コミュニケーションへ
今回インタビューを担当した川端は、理学療法士として以前から宮崎株式会社の健康づくりをサポートしています。
当初は、身体の不調を防ぐことが大きなテーマでした。
しかし継続して会社に関わる中で、健康経営には別の可能性も見えてきました。
それが、
「社員同士が話すきっかけをつくること」
です。
特に新人社員が増えた時期には、健康セミナーや研修が、部署や立場を越えて社員同士が顔を合わせる機会になりました。
コミュニケーションは、「もっと話しましょう」と伝えるだけで簡単に増えるものではありません。
一方で、
「身体について考える」
「睡眠について考える」
「仕事について考える」
といった共通のテーマがあることで、自然に会話が生まれます。
健康経営が、単なる健康管理ではなく、人と人をつなぐきっかけにもなり始めています。
「私のちょっと嬉しい」をみんなで共有する
その変化を象徴する取り組みの一つが、
「仕事のやりがいシェア会」
です。
テーマは、
「私の『ちょっと嬉しい』は?」
社員の皆さんに、日々の仕事の中で嬉しかったことや、やりがいを感じた瞬間を挙げてもらいました。
出てきたのは、決して特別な出来事ばかりではありません。
- お客さまから早い対応に感謝された
- 要望に応えることができ、お客さまと喜びを共有できた
- 改善活動をみんなで取り組み、うまくいった
- 自分のできることが増えた
- 自分で企画したものが形になった
- 梱包がきれいにできた
- 専門用語をきちんと理解できた
- 褒められた
仕事の中で感じている小さな達成感を言葉にし、それを周囲の人にも知ってもらう。
その時間の中で、社長からこんな思いが伝えられました。
「私も含めてですが、みなさんの頑張りを誰かが見て、評価したり、褒めたりする機会をもっと増やしていけたらと思います」
健康とは、病気にならないことだけではありません。
自分の仕事に意味を感じられること。
誰かが自分の仕事を見てくれていること。
自分がこの会社の一員だと思えること。
そうした感覚も、働き続けるための大切な土台なのではないでしょうか。

お客さまから感謝されたこと、自分のできることが増えたこと、誰かに褒められたこと。普段は口にしない「仕事の中の小さな喜び」を共有しました。
健康経営を続けるからこそ見えてきた課題
一方で、宮崎株式会社の取り組みがすべて順調というわけではありません。
むしろ、健康経営を継続してきたからこそ見えてきた課題もあります。
特に、製造業ならではの難しさがあります。
機械を動かしているオペレーターは、研修や健康イベントがあるからといって簡単に作業を止めることはできません。
そのため、取り組みの内容によっては参加率が低くなることもあります。
また、企画する担当者にも負担があります。
テーマを考える。
日程を調整する。
社内へ周知する。
実施する。
その後のフォローをする。
一つひとつは小さな作業でも、通常業務と並行すれば相応の時間が必要になります。
会社としても、
「健康経営を進めることで、本来の生産性を落としてはいけない」
という考えがあります。
健康経営は、取り組みの数を増やせばいいわけではありません。
社員のために始めたことが、担当者や現場の負担になりすぎてしまえば続きません。
だからこそ宮崎株式会社では、
「どこまで力をかけるのか」
「どうすれば現場に無理なく取り入れられるのか」
そのバランスを探りながら進めています。
健康経営を「特別な活動」にしない
宮崎株式会社の取り組みを見ていると、健康経営を会社の中で特別なイベントにするのではなく、日常の中へどう取り入れていくかを大切にしていることが分かります。
身体のケア。
健康について学ぶ時間。
社員同士が話す機会。
仕事のやりがいを振り返る時間。
一つひとつは、大掛かりな施策ではありません。
しかし、それを継続することで少しずつ職場の風景が変わっていきます。
これは、従業員数の多くない中小企業だからこそ参考になる健康経営の形でもあります。
目指しているのは、「この会社があって嬉しい」と思われる会社
宮崎株式会社では、働き方改善や組織力の強化を進め、皆が活躍できる会社づくりを進めています。
健康経営も、その会社づくりの一部です。
今後さらに取り組んでいきたいのは、フィジカル面だけではありません。
心理的安全性やコミュニケーション。
そして、
「自分の居場所がここにある」
と思えるような職場づくりです。
インタビューの中で、印象的な言葉がありました。
「この会社があって嬉しい、と思ってもらえる会社になりたい」
会社にとっての「共に」とは、経営者だけでも、社員だけでもありません。
お客さま、社員、そして地域。
そこに関わる人たちと一緒に、豊かな未来をつくっていく。
だからこそ、宮崎株式会社の経営理念には、
「地域の安心を支え、共に豊かな未来を創ります」
という言葉があります。
製品を守るトレーをつくる会社が、働く人の身体を守り、心の安心をつくり、人と人とのつながりを育てていく。
宮崎株式会社の健康経営は、まだ完成したものではありません。
試しながら、課題を見つけながら、少しずつ前へ進んでいます。
身体を少し気遣うこと。
誰かと少し話すこと。
仕事の中で感じた「ちょっと嬉しい」を共有すること。
誰かの頑張りに気づき、言葉にして伝えること。
そうした日々の積み重ねの先に、
「安心して働ける会社」
がつくられていくのではないでしょうか。
宮崎株式会社について
会社名
宮崎株式会社
公式サイト
https://miyazaki-pkg.com/
所在地
〒581-0039
大阪府八尾市太田新町9丁目128番地
事業内容
真空成型による各種トレー、ブリスターパック、印刷成型品などの製造・販売
健康経営の主な取り組み
中小規模法人部門2026認定
- 定期健康診断
- 健康セミナー
- 身体のケア・体操
- 運動・睡眠・食事に関する情報提供
- メンタルヘルスに関する取り組み
- 女性の健康に関する情報提供
- 社内コミュニケーションづくり
- 「仕事のやりがいシェア会」などの対話型企画
健康経営に取り組む企業の皆さまへ
一般社団法人 健康経営の窓口では、健康経営に取り組む企業の実践や、経営者・担当者の想いを取材し、記事として発信しています。
制度や認定だけでは伝わりにくい、企業それぞれの工夫や試行錯誤を可視化することで、働く人にも、これから健康経営に取り組む企業にも届く情報を発信していきます。
健康経営の取り組みについての取材・掲載をご希望の企業さまは、お問い合わせください。



コメント