女性がライフステージを通じて長く活躍できる会社へ

制度をつくって終わらせない、プラグマの健康経営
会計・税務、給与・労務、相続・事業承継、バックオフィス業務などを通じて、中小企業の経営を支援しているプラグマグループ。
今回の取材で印象に残ったのは、同社が健康経営を、健康診断や運動イベントだけの話として捉えていないことでした。
働き方を整えること。
体調について相談できる環境をつくること。
食事や運動のきっかけを用意すること。
従業員が、自分自身の健康について考えられるようにすること。
これらを切り離さず、日々の働き方や職場環境の一部として考えています。
プラグマが目指しているのは、女性が出産や育児、介護などのライフステージの変化を迎えても、キャリアを諦めずに働き続けられる会社です。
その想いを実現するため、テレワークをはじめ、健康診断、健康セミナー、社食、運動機会、マッサージ、カウンセリングなど、さまざまな取組みを積み重ねてきました。
一方で、すべての課題が解決しているわけではありません。
施策に参加していない従業員へ、どのように働きかけるのか。健康施策の効果を、どのように確認するのか。会社が個人の健康に、どこまで関わるべきなのか。
今回は、株式会社プラグマで管理本部長を務める武石留理子さんに、これまでの実践と手応え、そして現在も向き合っている課題についてお話を伺いました。
テレワークを導入して初めて見えた、自己管理の難しさ
プラグマが健康経営を意識するようになったきっかけの一つが、2020年7月から始まったテレワークでした。
新型コロナウイルス感染症の拡大を受け、当時は従業員全員が在宅勤務となりました。
その後もプラグマでは、テレワークを一時的な感染症対策として終わらせず、女性が出産や育児、介護などのライフステージの変化を迎えても働き続けられる環境づくりの一つとして活用しています。
現在は、在宅勤務の日数を月12日までとしています。
一方、テレワークを続ける中で、柔軟な働き方を用意するだけでは解決できない課題も見えてきました。
自分で生活リズムを整え、仕事とプライベートを切り替えられる人がいる一方で、その切替えがうまくできない人もいます。通勤がなくなったことで体を動かす機会が減ったり、一人で働く時間が増えて孤立感を持ったりする可能性もあります。
特に、社会人として働き始めたばかりの新卒社員にとっては、業務の進め方だけでなく、相談の仕方や職場内のコミュニケーション、働くうえでの生活リズムを身につけることも必要です。
そのため、プラグマでは新卒社員について、入社後1年間はテレワーク制度の対象外としています。
柔軟な制度を用意すれば、誰もが自然に健康で働けるようになるわけではありません。
制度を利用する人の経験や状況に合わせ、どこまで自由度を持たせ、どこにルールを設けるのか。プラグマでも、そのバランスを取りながら運用を続けています。
制度を導入したことで、制度だけでは支えきれない部分が見えてきた。
この気づきが、プラグマの健康経営を具体的な取組みへと進めるきっかけになりました。
不調になってからではなく、日常の中で予防する
テレワークを通じて見えてきたのは、働き方を柔軟にするだけでなく、従業員一人ひとりが自分の健康を管理する力を身につける必要があるということでした。
プラグマが健康経営で大切にしているのは、単に健康診断の数値を改善することではありません。
食事、運動、睡眠、メンタルヘルスなど、日常生活の中には、体調を崩す原因にも、健康を保つきっかけにもなる要素があります。
大きく体調を崩してから対処するのではなく、小さな不調や生活の乱れに早い段階で気づき、自分に合った行動を選べるようにする。
そのために、会社が健康について考える機会や選択肢を用意し、従業員自身のセルフケアにつなげることを重視しています。
「従業員自身が健康について考えて、不調になるきっかけを少しずつ減らしていけるといいと思っています」
会社が従業員の健康を一方的に管理するのではありません。
自分の状態を振り返り、必要なときに情報や支援へアクセスできる環境をつくる。
武石さんのお話からは、従業員の主体性を大切にしながら健康を支えたいという姿勢が伝わってきました。
一人ひとりに合う入口をつくる、多様な健康施策

プラグマでは、従業員によって健康課題や関心が異なることを前提に、さまざまな取組みを行っています。
健康診断は受診率100%を維持し、がん検診や人間ドックも実施しています。
メンタルヘルスの分野では、メンタルクリニックとの提携、年2回のオンライン研修、メンタルカウンセリングなど、専門家へ相談できる環境を整えています。
健康セミナーでは、食事、睡眠、運動、メンタルヘルス、女性の健康など、幅広いテーマを扱っています。
運動のきっかけとしては、理学療法士監修のストレッチや、健康保険組合が実施する「1万歩運動」に参加しています。
さらに、マッサージなどの施術、社食や野菜・弁当の提供、社内コミュニケーションを促す取組み、感染症対策なども実施しています。
取材を通じて感じたのは、プラグマが一つの施策ですべての従業員を動かそうとしていないことです。
運動に関心がある人もいれば、食事や睡眠に関心がある人もいます。集団で行うイベントには参加しにくくても、個別相談なら利用しやすい人もいるでしょう。
複数の入口を用意し、その人が関心を持てる方法を選べるようにする。
その考え方が、プラグマの健康施策全体に表れています。
従業員の声から、本格導入へ進んだ社食

さまざまな施策の中でも、特に従業員から良い反応が寄せられているのが社食です。
最初から大きな制度として始めるのではなく、まずは小さく試し、現場の声を聞いてから継続を判断する。
この進め方からも、プラグマが従業員の実感を大切にしていることが分かります。
「社食を利用した社員からは、午後の仕事のパフォーマンスが上がったという声もありました」
これは数値的な調査による結果ではなく、従業員から寄せられた感想です。
昼食を買いに外出する必要がなくなったことで、休憩時間に余裕が生まれ、その時間を散歩に使う従業員もいるそうです。
食事を支えるために始めた施策が、休息の充実や運動のきっかけにもつながっている。
健康経営の取組みは、一つの目的だけに効果が限定されるとは限りません。
従業員の日常に近い施策だからこそ、自然な形で行動の変化が生まれることがあります。
取組みが増えたからこそ、次の課題も見えてきた

健康施策を継続する中で、プラグマが感じている課題の一つが、効果をどのように測るかという点です。
参加人数や利用率は確認できても、セミナーを受けた後に生活習慣が変わったのか、社食や運動施策が健康状態や仕事にどのような影響を与えたのかまで、長期的に追うことは簡単ではありません。
「社員から良い反応はありますが、それをどのような数字で確認すればよいのかは、まだ模索しているところです」
従業員からの感想は大切です。しかし、施策を継続するか、内容を見直すかを判断するためには、客観的な指標も必要になります。
一方で、働きやすさや安心感、社内コミュニケーションなど、数字だけでは捉えにくい変化もあります。
何を成果として捉え、どのように見える化するか。取組みを実施する段階から、その効果を振り返る段階へ進んだからこそ生まれた課題です。
もう一つの難しさは、会社が個人の健康にどこまで関わるべきかという点です。
会社としては、不調が深刻になる前に支援を届けたい。一方で、健康状態は非常に個人的な情報でもあります。
「会社として支援はしたいのですが、個人の健康にどこまで踏み込んでよいのかは難しいと感じています」
会社が管理するのではなく、従業員自身が必要なときに相談先を選べる環境をつくる。外部の専門家や相談窓口も活用しながら、本人の意思を尊重した支援の形を考えています。
認定をゴールにせず、次の一歩へ
今回の取材から感じたのは、プラグマが認定を健康経営の完成として捉えていないことでした。
まだ参加していない人がいる。
効果測定の方法も定まっていない。
一人ひとりに合わせた伴走支援や、担当者の負担についても考えていく必要がある。
今後は、フェムテック、睡眠、歯の健康、コーチング、ストレスチェックなどにも関心を持っています。特に、女性が長く活躍できる会社を目指すうえで、月経、妊娠・出産、更年期などへの理解と支援は重要なテーマです。
すべてを一度に始めるのではなく、社内のニーズや運営体制を確認しながら、できることから一つずつ進めていく。
プラグマの健康経営は、完成された成功事例ではありません。
すでにできていることを土台にしながら、従業員の声を聞き、次の課題に向き合い続けている途中の姿です。
だからこそ、健康経営に取り組みながら、思うように成果が見えず悩んでいる担当者や、これから何かを始めようとしている企業にとって、参考になるのではないでしょうか。
制度をつくって終わらせず、自社と従業員に合う形を探し続ける。
そこに、プラグマの健康経営の魅力があります。
所在地
東京都新宿区市谷船河原町11番地
飯田橋レインボービル6階
従業員数
グループ全体31名~50名
健康経営優良法人認定
健康経営優良法人2026
中小規模法人部門
主な事業内容
会計・税務、給与・労務、相続・事業承継、バックオフィス業務、経営支援など
インタビューご協力
管理部 管理本部長
武石 留理子さん
健康経営ご担当者
人事部 鹿志村さん
総務部 長川さん
取材日:2026年7月
取材者:理学療法士/川端永耶


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