日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社

https://www.nipponpaint-automotive.com/

 

健康経営優良法人認定2026 大規模法人


目次

社員の笑顔を起点にした健康経営


―「称号」から「本質」へ、日本ペイントグループの挑戦―

創業145年を迎える日本ペイントグループは、200社を超える国内外のグループ会社(総従業員数38,500人)で構成されている総合塗料メーカーです。

日本ペイントグループの主に日本国内の従業員約3000人を対象として行われている健康経営について伺いました。


健康経営の取り組みは、当初、自動車用コーティング及びその他の化学製品の開発・製造・販売を行っている日本ペイント・オートモーティブコーティングス株式会社(NPAC)の総務部からスタートしました。

その後、グループの総務部が日本ペイントコーポレートソリューションズ株式会社に集約されたことをきっかけに、主に日本国内の従業員を対象とする取り組みとして拡大しています。


健康経営とは「社員が健康で笑顔で働ける環境づくり」であるとして、無理に巻き込むのではなく、同時に誰も取り残さないことを基本として地道な取り組みを進めています。


スタートは“ホワイト500”という目標

健康経営は、NPACの総務部主導でスタートしました。

立ち上げから携わっている担当者は当時をこう振り返ります。
「正直に言うと、“優良法人という冠が欲しい”という気持ちはありました」

会社の価値を高めるため、健康経営優良法人の認定取得を一つの目標に掲げ、
置き型社食のカロリー表示など、基準に沿った施策を一つずつ実行。

その結果、2021年には、健康経営優良法人のうち特に優秀な取り組みを行なっている大規模企業500社に与えられる「ホワイト500」を取得しました。


「目的は何か?」という問い直し

しかし、達成の裏で違和感が生まれます。

「いや、ちょっと待てよ。目的って何だったんだ?」

推進メンバーの中で自然と出てきたこの問い。
答えはシンプルでした。

「タイトルを取ることじゃない。社員が笑顔でいられる会社にすることだ」

そこから、健康経営は“取り組み直し”になります。
あえて認定申請をしないことを選択した年もありました。

「申請項目に合わせるより、本質的な取り組みに集中しよう」

健康経営優良法人認定の項目からは外れていても、本質的な取り組みに集中することを選んだのです。


推進の原動力は「人」と「パッション」

組織構成が変わったことをきっかけに、施策は一気に拡大、熱量も上がりました。

担当メンバーが変わり、対象が主に日本国内の従業員3,000人になると、
日本ペイントホールディングス株式会社経営層の理解も欠かせません。

「ホールディングスの共同代表である若月雄一郎代表およびウィー・シューキム代表にもきちんと説明して、納得してもらった上で進めています」

ただし、
「この取り組みって、建前では絶対に進まないんです、担当者の“想い”や“パッション”がないと、動かない」

愛知県の拠点から新たに加わったメンバーは、こうした空気感の中での取り組みを

「正直、最初は右も左も分からなかった。でも、“やりたいようにやっていい”環境だったので動きやすかった」

と語っています。


推進マップで「なんとなく」を脱却

当初は単発施策が中心でした。

「なんとなくイベントはやっていたけど、全体像がなかった」

そこで導入したのが健康経営推進マップ。
弱点を明確にし、重点的に取り組む領域を定めました。

結果として、
“点”だった施策が“線”としてつながり始めました


全社をつないだウォーキングイベント

最初は本社中心でイベントを実施していましたが、本社だけが盛り上がり、グループ内の他拠点には広がらないという課題がありました。

そんな中で、最も従業員を巻き込めているのが、ウォーキングイベントです。

愛知などの他拠点にも展開しながら、少しずつ全社的な広がりを意識して取り組んできました。

■ 見える化が生んだ一体感

「ふだんシンガポールにいるウィー・シューキム共同代表の歩数まで見えるんですよ。“あの人こんなに歩いてるんだ”って話題になります」

組織のコミュニケーションが、海外拠点も含めて横に広がっています。

■ ゲーム性と“ちょっとした本気”

面白みを持たせるために次のようなゲームを仕込みました。

● 平均歩数のチーム対抗戦
● 個人ランキング
● 飛び賞
(特定の順位に入った社員にも景品を用意し、上位以外の参加者にも楽しみが広がる工夫)
● ベストネーミング賞、など

さらにこんなエピソードも。

「役員より歩いたらアイスクリームって言われて…必死で歩きました(笑)」
「負けたら事務局としてどうなんだ、みたいな変なプレッシャーもあって」

“遊び”の中に、ちょうどいい本気が生まれています。


■ 写真と「いいね!」が生むつながり

LINEで写真を共有し、「いいね!」を送り合う仕組みも導入しました。

「桜の写真とか、散歩の風景とか、なぜか飲み会の写真も上がる(笑)」
そして、
「いいね!が付くと、“見てもらえている”って感じるんですよね」
自由で楽しい雰囲気が生まれています。

参加者の拡大と「空気の変化」

ウォーキングイベントの参加者は着実に増加しています。

  • 初回:約340人

  • 次回:約640人

  • 直近:約890人

この変化について、現場はこう語ります。
「朝来たら、まずExcel見るんですよ。“あの人めっちゃ歩いてる”って」
「NPACの西村智志社長も見ていて、出張先で声をかけてくる」

さらに――
「仕事じゃない会話が増えたのが一番大きい」
「上下関係なく、“次は負けないからね”って言い合える」

組織の空気が確実に変わっています。
次は、ウォーキングイベントの参加率をさらに高めることが目標。
従業員3000人の7割程度の参加を目指したいと考えています。

ただし
「景品目当てじゃなくて、“楽しいから参加する”状態にしたい」


エンゲージメントの鍵は「承認」

参加率を高めるための鍵を、担当メンバーはこう分析しています。

「認められることって、人が動くきっかけになるんですよね。」

  • 歩数が見える → 見られている

  • 写真に「いいね!」 → 認められる

「そういう“承認の仕掛け”をあえて入れています」

「社員を主役」にした情報発信

以前は一般的な健康情報を発信していました。
しかし――
「正直、全然見られなかった(笑)」

そこで方向転換。
例えば、「喫煙歴30年の社員⚫︎⚫︎さんの脱たばこ体験」を記事に。
「社員を載せたら、めちゃくちゃ見られる」
「身近な人の話だと、“本当?”ってなる」
“自分ごと化”が一気に進みました。


楽しさから広がる多様な取り組み

健康経営はイベントにとどまりません。

睡眠セミナー開催様子
  • 野菜食べてますか?チェック

  • 減塩メニュー

  • 睡眠・朝食セミナー

  • 置き型社食

さらに――

トマトの苗を配布した栽培プロジェクトを実施。
「無料で苗をもらって育てるんです」
「2個しかできなかった人もいれば、70個できた人もいて(笑)」
イベントがない期間も、つながりが続きます。

 「楽しいからやっている」が本音

この取り組みの核心はここです。

「正直、業績への効果は測れない。
でも、社員が笑顔になる。それでいいと思っている」

業績を優先するよりも、社員を見ることが大切だと考えています。

課題は「取り残さないこと」

一方で、課題も明確です。

「イベントが苦手な人もいる」
「盛り上がるほど、参加できない人がしんどくなる可能性もある」

だからこそ、
「無理に巻き込まない。でも取り残さない」

このバランスを模索しています。

担当者は全国の拠点を回っています。
「行かないと分からないことがある」
「トイレが壊れているとか、空調が効かないとか」
そして、
「“何でも言っていいよ”っていう関係を作る」
これも健康経営の一部です。


健康経営は“好き”で続く

私たちの取り組みは、トップダウンではありません。
思いつきで始めた施策も多いですが、それでも「できることはやろう」という姿勢で取り組んでいます。
「好きでやっているんです」

  • 上から言われたからではない

  • 評価のためでもない

「社員が笑顔になるからやる」
そのシンプルな想いが、
組織を変え、広げ、続けていく力になっています。


<編集後記>
日本ペイントグループは、アジア・アメリカ・欧州などにも拠点を広げている企業。日本国内にも複数のグループ企業があります。

グループ従業員の定着率も高く、取材をしていても、風通しがよく、働きやすい企業であることが伝わってきました。

健康経営に取り組むことによって、従業員の定着率を上げる、新規採用を有利にするという視点ではなく、より本質的に、従業員の健康状態の向上、コミュニケーションの充実を図ることで、「社員が健康で笑顔で働ける環境づくり」を貫いていました。

さまざまなタイプの従業員一人ひとりを巻き込んでいくには、どんな施策が良いのか、健康経営実践士(一般社団法人健康経営の窓口)の立場からも提案していきたいと思います。


取材日:2026年4月
取材者:健康経営実践士 川端永耶・岩浅秀郎

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一般社団法人健康経営の窓口
東京都中央区日本橋3丁目2番14号
新槇町ビル 2階
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【インタビューのご依頼はこちら】
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